現代の名工 木下茂 曲線を描く匠

建築デザインの可能性を飛躍的に広げ、 新たな価値と需要を創出した、アルミ曲げ加工の第一人者。

アルミ押出形材の曲げ加工に従事し、断面を分割して曲げる製品設計技法をはじめ、 曲げ加工方法・装置の開発に努め、約30件の特許を考案。 その技術は業界の第一人者といわれている。また、曲げ加工技術の標準化を推進し、 後進技術者の指導育成に「ものづくり」という広い見地から積極的に取組んでいる。
受賞歴

昭和61年
平成7年
平成8年
平成12年
平成16年

発明協会富山県支部長賞
科学技術庁長官奨励賞
日本塑性加工学会技術開発賞
労働大臣表彰(卓越した技能者)
黄綬褒章

◆労働大臣表彰(卓越した技能者)  平成12年度受賞 《金属製建具製造工》木下 茂 (昭和27年9月30日生まれ)
匠の想い
建築デザインに不可欠な押出し形材曲げ技術を 様々な分野にもっと普及させたい。

建物は、外壁を軽くすることで省資源、省エネルギーを実現し、また自然と調和させる為に曲線を用いたデザインが多くなっています。
これを可能にしたのがアルミ押出し形材の曲げ加工技術です。私が長年携わってきたのは、こうしたアルミ曲げの加工方法やそのための機械の開発です。
たとえば複雑な断面を持つ形材を、しわや亀裂がない綺麗で制度の高い曲げ製品に仕上げるために断面を分割して曲げる設計手法や、プレス・押し通し・引張曲げといったものが挙げられます。
こうした技術を建材以外の分野にも、もっと役立てたいと思います。

建築デザインに不可欠な押出し形材曲げ技術を 様々な分野にもっと普及させたい。
発明展への出品が きっかけで、国際会議で発表することになった。

「富山県発明とくふう展第33回大会」への出品が私の転機となりました。
当時、会社の出品窓口をしていた私は、応募回答が無かった事を上司に報告したところ、上司が一言「君の責任で必ず出品するように」と。今思えば、この上司の一言がなければ今の私は居ないかもしれません。
急遽、以前に開発した「押出し形材の曲げ加工装置」を出品することに。短い準備期間の中、ミニチュア模型を準備し、審査当日、汗をかきながら、必死で実演を行ったことを覚えています。
その結果、最高栄誉を受賞することができました。翌年には、読売新聞の特集記事「北陸ひと物語」で5日間の連載というオマケまでついてきました。
今までは生産技術畑一筋で、図面にかかれたものを実際の形にする仕事に携わってきましたが、受賞をきっかけに「モノ作りの技術をもっとアピールすべき」という社内の気運が強まり、軽金属学会などの対外活動も始める事になったのです。
国内はもとより、押出し関係の国際会議ET96(米国シカゴ)でも講演を行いました。そして、1996年には曲げ形材製造方法で「日本塑性加工学会技術開発賞」を、2000年には「現代の名工」の表彰を受け、2004年には「黄綬褒章」を授章しました。

発明展への出品が きっかけで、国際会議で発表することになった。
「もう一回」の気持ちと工夫を続けたことで成長できた。

40年にわたりモノ作りに携わってきました。壁にぶつかった時に自分なりに工夫を続け、そしてうまくいった時の達成感が、私を成長させてくれたのだと思います。重要なのは、「もう一回」「あともう一回」と粘り強く考え続け、チャレンジする精神です。モノ作りの仕事は、学校の試験とは違って、最初から正解があるわけではありません。そして技術には終わりがありません。たえず、粘り強く考え続け、答えを見つけ出していく姿勢を忘れないことが大切なのだと思います。
「思いやりなどの余裕のない社会になった」と最近耳にしますが、「人に対して、問題(仕事)に対して、さまざまな場面でいかに思いやる(考える)心を働かせられるか」を自身の目標とし、生涯現役!今日も明るく楽しく頑張りたいと思います。

「もう一回」の気持ちと工夫を続けたことで成長できた。
このページの先頭へ
匠の想い
螺旋水車の製作
螺旋水車の製作

学校内にある教育用のビオトープで日本で初めてと思われる「らせん水車によるマイクロ水力発電」を実現している。

アルミによる軽量化を果たし、回転抵抗を極力小さくする設計で挑戦しました。水量が少ない事や安定していない事などで、当初安定して照明を灯せず苦労しました。

分割曲げ・スライドフィッテング[門柱・カーポートでの加工事例により平成8年、日本塑性加工学会/技術開発賞を受賞] 分割曲げ・スライドフィッテング[門柱・カーポートでの加工事例により平成8年、日本塑性加工学会/技術開発賞を受賞]

分割曲げは、曲げの加工限界を超えた幅広形材等の断面をいくつかの部分に分割して曲げる方法である。
スライドフィッティングとは、分割した断面をあらかじめ組合せ、接合部のスリップを利用して同時に曲げ加工する手法であり、従来の別々に曲げ加工する方法に比べ、品質やコストを飛躍的に改善した。


CORE TECHNOLOGIES コア技術
MATERIAL.VARIATION 加工とバリエーション
とやまの名工 木下茂

協同アルミ
お気軽にお問合せください

三協立山アルミ
三協マテリアル株式会社
新光硝子工業株式会社
一般社団法人 日本アルミニウム協会
社団法人 高岡アルミニウム懇話会